片づけのスタート地点は一体どこ?
部屋中にあふれ出た、行き場のないモノに囲まれる暮らし。何とかしたい気持ちはあるものの、どこから手をつけていいのかわからない。そんな悩みを抱えたまま、やり過ごしている人は少なくありません。
もし、片づけのスタート地点さえ分かれば、片づけに前向きになれるのだとしたら、それを知っておいて損はありません。いえ、損はないどころか、大きなメリットを得ることに。雑然とした暮らしは、間違いなく人生にとって大きなマイナスになるからです。
では、一体どの場所から片づけ始めるのが最も効果的なのでしょうか。モノの要不要を決めやすいキッチンから…とか、簡単に終わる下駄箱から…とか、肩慣らしを片づけのとっかかりにする提案が多いのですが、残念ながら、それでは使いやすい家になることはありません。なぜなら、その片づけの視点はミクロ的であってマクロ的ではないからです。
大切なのは、マクロ的視点から入ること
「木を見て森を見ず」ということわざがあります。小さいことに心を奪われて、全体を見通さないことのたとえなのですが、まさにこれが、使いやすい家になりにくい理由です。
ミクロ的な視点では、家全体を俯瞰することなく、キッチンや下駄箱など家の中の一部分だけしか見ていないので、家全体を把握することができません。その結果、片づけたその場所はきれいに整えられても、そこに収納されたモノが果たしてその場所で正解だったのかは分からずじまい。もしかすると、よりふさわしい場所が別にあったのかも知れませんが、それは家全体を見て考えないと気づくことができません。
例えばわが家では、すべてのキッチンアイテムがキッチンに収まっているわけではないですし、下駄箱に靴は一足も置かれていません。それは家を俯瞰して見たときに、より使いやすい収納場所を別に見つけることができたからなのですが、もし下駄箱だけを見て片づけをしていたら、疑うことなく下駄箱に靴を収めていたでしょう。
ですから、最初に取り掛かるべき場所はキッチンでも下駄箱でもなく、また、よく使う場所でも散らかった場所でもマシな場所でもありません。
いちばん最初に向かうのは、机
では、片づけのスタート地点はどこなのでしょうか?
それは机です。とはいえ、そこでするのは片づけではありません。もちろん何も置けないほど机の上にモノが散乱しているのであれば、ノート一冊置けるだけの場所を確保する必要はありますが。それをしたうえで、そのスペースにノートを広げ、マクロな視点で計画を立てること、それが最初にするべきことです。
マクロ的な視点で考えるとは、家全体を見て、各部屋各収納にモノを割り振っていくことです。それを、まずは机上で考えます。つまり収納の計画を立てるのです。その工程では、使い勝手や収納キャパシティ、またモノの使用頻度や使う人など、いろいろな要素が判断材料になります。したがって、必ずしもその部屋で使うモノがそこに収納されるとは限りません。
例えば、あるモノを使う場所がAの部屋であっても、そこが狭かったり収納したいモノが多数あったりでキャパシティーオーバーなのであれば、それを解決させるために、使用頻度の低いモノをBの部屋へスライドさせ、折り合いをつけていかなければいけません。コマを移動させながら完成させるスライドパズルように、様々な条件を考慮したうえで、時には部屋をまたいでモノの収納場所を決めていく必要があるのです。
家を建てるとき、設計図もなしに工事をスタートさせることはありません。また、部屋をひとつずつ完成させながら工事を進めていくこともありません。それと同じように、片づけにも全体的な設計図が必要です。マクロ視点できちんとした計画を立ててから、時に軌道修正をしつつ、それに沿って各部屋の片づけを進めていくことで、使いやすい収納、暮らしやすい部屋、居心地のいい家ができていくのです。
どこから手をつけていいのか分からなかったら、まずはノートを一冊手に取り、収納計画を立ててみましょう。頭の中が整理されるだけでなく、片づけのモチベーションも上がります!