「テーブル上にそびえ立つ、なんとなく置いてあるモノの山に挑む」

ダイニングテーブル上で起きている悩ましい惨状

家の中の、片づけても片づけてもモノが滞り溜まっていく、吹き溜まりのような場所。それは、かつて平地が広がっていたはずの、ダイニングテーブルの上、またはキッチンカウンターの上。気がつけばそこに、なんとなく置かれたモノたちで作られた山ができている。山は絶妙なバランスで上へ上へと伸びていき、その麓の小さい空きスペースでご飯を食べる毎日。その山を元の平地に戻したい、そう思うのであれば、まずは山ができる原因を突き止める必要があります。

山を解決するには先ず山を知れ

山はどうしてできるのか。その答えは、積みあがっているモノをよく観察してみると分かります。

 

例えば、「定位置が決まっていないモノ」や「定位置に戻すのが面倒なモノ」。これらは理由が明白なので、解決も比較的簡単です。定位置が決まっていないのであれば、定位置を速やかに決めればいいし、定位置に戻すのが面倒なのであれば、収納のハードルを低くすれば解決するでしょう。

 

ところが、それらがちゃんとできていても、モノが溜まっていく場合があります。なぜなら、山の原因は定位置の不足や不備だけではないからです。定位置はあるのだけれど、そこへ行く準備のできていない「未処理のモノ」。これが、テーブルの上に山を作っている原因です。それを解決しない限り、山は増殖を続けるでしょう。

 

未処理のモノが溜まってしまうシステムはこうです。

 

例えば、郵便物。夕方、帰宅とともに郵便物や夕刊を家の中に持ち込みますが、その際さらっと見るだけですぐに処理をしないことがあります。なぜなら、夕食の準備やら洗濯物の後始末やら、その時間はやらなければいけないことが盛りだくさん。郵便物の封を開けるのだってひと手間ですが、それ以外にも、保存と廃棄に分別する手間、シュレッダーにかける手間、返事を書く手間など、いろいろとやるべき処理があります。新聞だって、読まないことにはしまえない。でも、今はそんなことをする余裕はない。だから、あとでまとめてやろうします。これが「未処理のモノ」。友人からの手紙は手紙入れへ、保管する書類はファイルへ、読み終わった新聞は廃品回収用袋へと、それぞれ定位置は決まっているのですが、処理待ちのため「とりあえず」とテーブルに置かれ、そしてそのまま放置され、それが毎日繰り返され、溜まりに溜っていくのです。

 

それを解決するにはどうしたらいいか。答えは一つしかありません。未処理ゆえに溜まるのだから、速やかに処理をすること。つまり後回しをやめる。これに尽きるでしょう。

 

ただし、これこそ言うは易く行うは難し。忙しかったり、面倒だったり、忘れてしまったりで、その処理がなかなかできないことが問題なのです。ですから山を作らないためには、それでも処理が速やかに行われるようなシステムを作る必要があります。そのために必要なのが、仮置き場という定位置です。

仮置き場はダイニングテーブルを救う?!

仮置き場というと「とりあえずボックス」のような、何でもかんでもポイポイ入れられる便利な箱のようなものを想像するかも知れません。ですが、決してその類のものではありません。そのような、その場しのぎの箱を作ったところで、何の解決にもならないどころか、かえって山を作るための土台を作ってしまうことになりかねないからです。

 

では、箱でない何か別のものを置くのか。いいえ、やはり箱ひとつで大丈夫。ただし、大きく違う点が二つあります。

 

一つ目は、仮置き場の定義を「未処理のモノを一時保管する場所」と明確に決めること。そう定義することで、仮置き場に何かが入っている限り、自分にするべき仕事があることがわかります。これが仕事の見える化になり、処理をする行動につながります。

 

そして二つ目。

その箱の基本形を、空っぽの状態と決めること。なぜなら、そこは一時的に仕事を保管するだけの仮置き場だからです。箱に何かが入っていたら、早く空っぽにするよう自分にルールを課します。すると、するべき仕事を早いうちに処理し、そして本来収まるべき定位置へと移動させなければならなくなります。結果、テーブルの上に山ができにくくなるのです。

 

片づけというと、すぐに収納を作るなど物理的にどうにかしようと考えがちですが、自分の行動を見直すことも大切。収納は、見直し後の自分をうまくサポートしてくれる、心強い相棒として活用しましょう。