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実家の片づけは、こうすれば上手くいく!キッチン実例

「実家のモノを捨てるか捨てないかで親子げんか」。高齢化が進む中、「実家の片づけ」にまつわるトラブルを耳にすることも少なくありません。

 

自分の終末期に備えて整理を始めることは、悪いことではありません。ですが、「『終』わりに向かっての『活動』=終活」という言葉は、どうしても「死」を連想させてしまいます。高齢者自らが率先して備えるならまだしも、子ども世代が親世代へ強引に促すべきではありません。親の生きる気力を失わせかねない、大きなリスクをはらんでいるからです。

 

とはいえ、散らかった暮らしにくい危険な家を、ただ黙って見過ごすこともできません。加齢とともに訪れる身体的能力の低下は、今まで問題なく暮らせていた家を、徐々に暮らしにくくしていくからです。

 

何の問題もなく日常生活が営める健康寿命年齢は、平均すると男性が71歳、女性は75歳。それを超える頃になると、何らかの健康上の問題が出てくると言われています。病気を患ってしまえば、もっと早い時期から問題が顕著に現れるでしょう。

 

健康寿命を過ぎたあとも、住み慣れたわが家で暮らし続けるためには、今のうちから家を整えておく必要があります。そのための片づけであれば、親世代に気兼ねなく勧めることができ、またトラブルになったり気力を失わせたりする心配もありません。なぜならそれは、「これからを『生』きていくための『活動』=生き活」だからです。

 

これからご紹介する実例は、まさに子ども世代が高齢の親の暮らしを心配して依頼をしてきた実家の片づけ。高齢者が安全安心に暮らせる家にするための改善方法を、キッチンを例にとって見ていきましょう。

ポイント1 長年の慣習や固定観念に捉われるなかれ!

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実家の片づけ キッチン実例

70代女性のひとり暮らしのお宅。ダイニングキッチンの真ん中に大きなテーブルが置かれ、右に食器棚、左に調理台がありました。 

 

食器棚にすべての食器が収められていたため、配膳のたびに、調理台と食器棚の間を往復する必要がありました。また、食器がそれぞれを種類別に重ねられていたので、ひとつひとつ出し入れする手間も必要でした。

 

ご本人に伺って分かったのは、普段使っている食器はわずか数点だということ。それであれば、すべてを引き出し一つに収めることが可能です。普段使いの食器だけを調理台下の引き出しひとつにまとめ、食器棚へ行くことなく食事をまかなえるようにしました。

 

この女性が今まで食器を食器棚に戻していたのは、家族と一緒に住んでいたころからの名残。習慣になっている動作はわざわざ疑わないことが多く、動線のムダに気づきにくいものです。だからこそ、シンプルなアレンジひとつで飛躍的に効率アップにつながる可能性があります。

 

 

いま一度、これまでとは違う視点で家の中を見直してみることをおすすめします。

ポイント2 キッチンは料理をするのが目的と心得よ!

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実家の片づけ キッチン実例

このお宅には三世代が同居。多忙な娘さんに代わり、80代のお母さまがキッチンを取り仕切っていました。キッチンにはたくさんの鍋やフライパンがあり、それらをスライド式の大きな引き出し二つに収納していました。 

 

重たい調理器具が幾重にも重なり、ひとつ取り出すのにかなりの手間と力を要していましたが、すべてを使っているとのことで、減らすことはできません。

 

ですが、よくよく聞けば、その中でも使用頻度には差があるとのことでした。

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実家の片づけ キッチン実例

そこで、使っていないモノを2軍として別保管することに。

 

スペースに余裕を持たせた引き出しに、よく使うフライパンを、レジ袋でいっぱいになっていた棚に鍋を収納し、いずれもワンアクションで取り出せるようにしました。

 

キッチンは、キッチン用品を収納するためにあるのではなく、料理をするためにあるのです。まずは、料理が負担なくできることに重きを置いてしつらえましょう。

 

そのことが、いつまでも自分の手で料理ができる未来につながります。

ポイント3 危険は今までと違うところあると肝に銘ぜよ!

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実家の片づけ キッチン実例

たくさんのモノが置かれている食器棚の前。

 

足を引っかけ転倒するだけでなく、食器棚からモノを取り出す際に、不自然な姿勢を強いられ腰を痛める危険もあります。

 

高いところにあるモノは、取らないようにすることで、ある程度危険回避することができますが、足元に置いてあるモノに関しては、置いてあるだけで大変危険です。

 

床は収納場所ではないと心得、速やかに空けるようにしましょう。 

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脚立を使わないとモノが取れない高さの吊戸棚に、モノが所狭しと収納されていました。

 

「脚立に乗る」「高いところから大きなモノを取り出す」といった動作は、高齢者にとって大変危険な行為です。転倒から骨折、そして寝たきりへとつながる可能性があるからです。

 

このお宅でも、ほとんどのモノを下に下ろし、処分できなかった残りのモノは、後日お子さんに引き取ってもらうことにしました。

 

年を重ねるにつれ、今まで当たり前にできたことが、徐々にできなくなっていきます。病気を患えば自覚しやすい衰えも、健康であるがゆえにその衰えに気が付かず、知らず知らずのうちに住み慣れた家が住みにくくなっていくのです。 

 

実家の片づけは、本人では気づきにくい点を探りつつ、身体能力低下の段階に沿って改善し続けてあげることが大切。「安心安全で、かつ、自立した生活を送ってもらうために」です。

 

決して、「大量のモノを遺して死なれたら困るから、今のうちに片づけて」などと言わないように気をつけましょう。