昔と今とで大きく様変わりしているもののひとつに、カメラがあります。フィルムからデジタルへと変わり、その後スマホに取って代わられ、今ではわざわざカメラを持ち運ぶ人も少なくなってきました。
その進化は、撮影後の写真管理事情をも大きく変えることに。
フィルムカメラの時代は、現像しない限り撮影した画像を見ることができません。そのため、写真やネガが現物として手元に残り、大きく重たいアルバムをいくつも所有することになりました。今でも、アルバムや写真が家の一角を大きく占めているというご家庭は少なくありません。
それに対しデジタル化された現代では、データのみの保存が可能。家中が写真であふれることはなくなった代わりに、目当てのデータが見つからなかったり、手元に写真がまったくなかったりという、新たな悩みが起きています。
新旧どちらのタイプにも一長一短あるものの、写真やデータの整理が多くの人の悩みの種であることに変わりありません。ただ、写真が整理できていなくても、日々の生活に支障をきたすことはなく、いつか時間ができたら…と、写真整理を後回しにする人は多いでしょう。
若いうちはさほど役に立つことのない写真ですが、実は、シニアになると写真が大きな効果をもたらすことがあります。写真を整理していないと知らず知らずのうちに損をすることも。これからその理由を「3つの効果」としてお話しします。
効果その1 思い出がその場を盛り上げる

これはシニア世代に限ったことではないのですが、写真というアイテムがあると、それを見ながら思い出話に花が咲き、盛り上げることができます。
久しぶりに訪ねてきた友人や帰省中の子や孫と見る思い出の写真は、「ああだった」「こうだった」と尽きない話題を提供し、楽しいひとときを作ってくれるでしょう。
整理された懐かしい写真は、憩いの場を和ませ盛り上げてくれるのに、その力を発揮してくれるのです。
効果その2 思い出が介護者に対する心の支えになる
介護を必要とする家族がいる場合、大抵は配偶者や子どもが中心となって介護をすることになります。いくら身内とはいえ、決して楽ではないその生活に、介護者の心が折れそうになることも。介護される側の事情や気持ちを理解しつつも、先の見えない生活に、小言を言いたくなったり投げ出したくなったりすることさえあるかもしれません。
そのような時、家族の写真やアルバムを開いてみると、そこには懐かしい思い出や若かった頃の家族の姿があり、それらが介護者の心に昔を振り返るよう訴えかけてきます。それより呼び覚まされた感謝の念や愛情といった感情は、介護疲れで折れかけていた気持ちを修復し、前向きな気持ちにさせてくれるでしょう。
写真で過去を振り返ることは、介護者が心の中に持つ愛情に、「思い出」というツールで訴えかけることになり、その結果、介護へのパワーを内側から引き出してくれます。整理された思い出の写真が介護者を励まし、心の支えとなってくれる可能性があるのです。
効果その3 思い出が認知症予防になる

認知症を予防抑制する手立てのひとつとして、回想法があります。
これは、過去の記憶を蘇らせ記憶の引き出しを開けることで、脳の神経細胞を活性化させ、認知症の進行を遅らせたり予防したりすることを狙った心理療法です。
その際に役に立つのが、昔の写真。記憶の奥底に眠っていた思い出を、写真というツールが揺さぶり起こし引っ張り出してくれます。つまり、ロックが掛かった脳内の引き出しを開けるのに、写真がカギとなるということ。
整理された思い出の写真は、認知症治療の過程で頼れる助け手となってくれるのです。
必要なのはベストアルバムを作ること
そんな時、写真が重たいアルバム数十冊にビッシリと貼られていたり、箱にギュウギュウに収められていたり、データが行方不明だったりすると、いざという時にせっかくの写真を使うことができなくなります。
また、心に響く思い出の写真というのは、本人でないと分かりません。自分でそれを選び出すことができなくなってしまってからでは、大量にある写真を有効に活用することはできません。
そこで、早いうちに選りすぐりのベストアルバムを作りましょう。
その際気を付けるのは、すべての写真を整理しようと思わないこと。採用されなかった写真をどう分類するか、捨てるのか保管するのかといった選別をしていると、時間がかかりすぎて頓挫する可能性が出てきます。
使わなかった写真は、箱に入れて使っていない部屋の押入れにでも入れておけばいいのです。どうしても気になるのなら、とりあえずベストアルバムを完成させ、その後再び取り掛かればいいでしょう。
アルバム作りのポイントは
そのアルバム作り。量や形に決まりはありませんが、あまり数が多いと保管が大変になってしまうし、少なすぎると心に訴えかけるのに力不足かもしれません。また、一冊にまとめようとすると、重くなりすぎて見るのが嫌になってしまうことも。
「幼少期/青年期/壮年期」のように年代ごとにまとめて数冊作るのもいいですし、「結婚前/子育て中/リタイア後」のように、バックグラウンドで分けて作るのも分かりやすくてよさそうです。
いずれにしても、ここに収めるのは楽しい思い出だけ。わざわざ嫌なことを思い出す必要はありません。自分の人生をバラ色に塗り替えてしまうような、素敵な思い出だらけの特選アルバムを作り、それだけを手元に置いておきましょう。
そうすれば、たとえ将来自分の判断力が衰えたとしても、他の人がそのアルバムを自分に提示してくれます。その中にある写真は、自分がチョイスしたピンポイントなものばかり。直にあなたの心に訴えかけ、記憶の引き出しのロックを外してくれるでしょう。
写真は、いつかあなたを助けてくれる重要なサポートアイテム。そう思えば、生活に支障がないと整理をいつまでも後回しにはできません。早いうちに、マイベストアルバムを作っておくことをお勧めします。
